皆さんは、デジタルツイン(Digital Twin)という言葉をご存知でしょうか?
デジタツインとは、スマートフォンなどのデータから作り出したもう一人の自分のこと。
写真、検索履歴などのデータを元に、その人がどんな人か割り当てるのです。
先日、NHKスペシャル「デジタルVSリアル」にて、このデジタルツインの壮大な実験をやっていました。
ここまでデジタルから本人が特定されるのかと驚きの連続でした。
今回は、その放送内容をまとめてみました。
番組の基本情報
まずは基本情報から。
番組の趣旨は、データだけでどれだけその人のことが分かるかということ。
被験者となったのは、Xさん。
Xさんからは、過去9年分のグーグルでの「位置情報」「画像情報」「検索履歴」を収集しました。
具体的にいうと、過去9年分のGoogleマップでの位置情報、Googleフォトの写真、Googleでの検索履歴などです。
データにして、それはわずか3GB。
このデータの中から、Xさんがどのような人かを割り出していきます。
データを解析するのは、IT企業misosil(東京都港区)。
Xさんの情報に関しては、misosilには事前に何も知らされていません。
デジタルツインを作るには、「位置情報」「画像情報」「検索履歴」の3つがあれば十分だそうです。
番組では、この3点を中心にXさんの解析が進んでいきました。
位置情報
まずは位置情報から。
デジタルデータを使って、Xさんがいつどこにいたかなど基本的な情報は全て分かります。
移動速度から、Xさんがその時、歩いていたか、電車だったかまでも予測することができるそうです。
Xさんの行動範囲が大阪のある一点に集中していたことから、Xさんが住んでいる場所はすぐにバレました。
因みに、位置情報は経度・緯度だけではなく、高さまで分かるそうです。
Xさんの場合、ずっといる場所の高さが7〜8メートルであったため、3階に住んでいることもすぐに特定されました。
また、その特定された場所内での移動距離が限られていたことから、住んでいる物件は20平米ほどであるとされ、そこからXさんは独身の可能性が高いと推測されました(実際にXさんは独身でした)。
その他、Xさんは夜になると、ある飲食店に長時間いることから、そこで働いていること推測されました。
実際、Xさんは、そのバーの経営者でした。
画像情報
Xさんから提供されたデータには、400枚の画像が。
実験チームは、そこからよく出てくる顔を多い順に並べ、他の情報と併せ、Xさんの顔をすぐに特定しました。
Xさんは男性でした。
更にAIの顔認識技術で顔の27ポイントを解析。
その結果、Xさんは32歳であると推測されました(実際は31歳で誤差は1歳)。
検索履歴
いよいよ最大の情報量を持つ検索履歴です。
Xさんは、9年間で35,765回検索していました。
まず、実験チームが行なったのは、Xさんが検索している時間帯。
検索の少ない時間帯から、Xさんの睡眠時間は午前4時~午前11時と推定されました。
検索履歴に関しては、実験チームはバーの営業中と思われる時間帯の検索履歴の多さにも着目。
そこから、「お店があまり忙しくない=バーの経営が思わしくない」ことまで予想。
検索履歴を調べると「ソフトバンク光 解約」「amazonプライム 解約」などの文字が。
そこから、Xさんは、貯金を切り崩す生活を送っている可能性があると指摘されました。
後日、Xさんにそのことを聞くと、予想通り、バーの経営はうまくいっておらず、ギリギリの生活を送っていることがわかりました。
更には、実験チームは、Xさんの検索履歴から「去年、彼女と別れ、今は彼女がいないこと」「浮気ぐせがあること」まで推測。
Xさんにそのことを聞くと、去年、本当に彼女と別れていたそうです。
しかも別れた理由は、自分の浮気が原因でした。
未来を予測
デジタルツインは、その人がどんな人かを割り出すだけのものではありません。
そのデータをもとに、その人の未来をも予測することができるのです。
実験チームは、Xさんの未来に関して「近々、新しい仕事を始める可能性がある」「精神状態が良くないので、体を壊す可能性がある」と推測。
それから3週間後、Xさんは本当に弁当宅配のアルバイトを始めていました。
更には、マスクをして風邪気味のXさん。
その点を本人に聞くと、ここ最近体調を崩しているとのことでした。
まとめ
番組の最後には、実際にXさんと解析したチームスタッフが会うシーンも。
お互いに、会うのは初めて。
しかし、Xさんの過去のデータを解析していたチームスタッフ曰く、「初めて会う気がしない」とのことでした。
解析していくうちに、Xさんがどういう人か分かったスタッフにしてみれば、旧友に久しぶりに会うような感覚だったそうです。
実際に一度も会ったことがないのに、会ったことがある気がする。
デジタルツイン、恐るべしです。
番組のタイトルは、「さよならプライバシー」。
色々と深く考えささられる内容でした。